旅路ノート

歴史と温泉宿が好きな女性会社員の旅日記

肘折温泉「旅館勇蔵」にひとり泊(2020年2月)

 

わたしの恒例行事としている、「2月の東北ひとり旅」。昨年、おととしは米沢の小野川温泉に1泊したのですが、今年は山形県肘折温泉から宮城県作並温泉への2泊旅行にしました。

 

というわけで今回は1泊目、肘折温泉 旅館勇蔵さんに宿泊したときのことを中心に書いてみたいと思います。

「旅館勇蔵」さんは温泉ブログなどでよく目にし、源泉かけ流しのお湯や地産地消の手作りのお料理が評判のようで、泊まってみたいなぁと思っていたお宿です。

 

肘折温泉「旅館勇蔵」へ

 山形新幹線の終点、新庄駅に到着しました。東京からは3時間30分かかります。新幹線の切符はJR東日本えきねっとから「トクだ値」で予約。3割引きは大きすぎます!事前受付は出発日の1か月前のさらに1週間前の日。事実上私は、この日に間に合うように旅の計画を立てるようにしています♪

 

駅には受験生を応援する横断幕がありました。「しん・じょう」を胸に、頑張れ。ふるさとを胸に頑張れということなのですね。少なからずそのまま他の街に行ったままの若者もでるでしょうから多少切ない気持ちになりました。

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 ニューデイズで、おつまみやお茶を買って、大蔵村の村営バスに乗り換え肘折温泉へ向かいます。新庄駅からはさらに約1時間ほどの道のりです。 バス「おおくらくん」がやって来ました。

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新庄駅から肘折温泉待合所までは片道600円ですが、往復で1100円になるお得なチケットがあり下車時に運転手さんから購入可能です。もちろん日にちをまたいでもOK。

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旅館勇蔵の最寄りの停留所は肘折温泉の「第一停留所」ですが、正直言って第二停留所なら1~2分、終点肘折温泉待合所からなら3分の差ぐらいかと思います。

チェックインできる3時まで20分ほどあったので、近くの商店でお酒を買ったり、周りをぐるっと歩いたりして調整しました。

 

チェックイン

こちらがお宿の外観です。

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お世話になります!

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今回のお部屋は2階の和室6畳のお部屋です。TVはBSも観れました。金庫あり、WIFI良好です。浴衣やタオル、はぶらしなどの基本的なアメニティ完備、冷水ポッド(湧き水だそうです。美味しかった!)、お湯のポットがあります。

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 洗面台もあるんですね♪

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女将さんがお茶を入れてくれて、温泉や食事時間について説明してくださいました。f:id:rekishipen:20200223161929j:plain

 

 ヒーターは温泉の熱を利用しているもの。 とてもパワフルでした。夜寝るときは右のダイヤルでOFFにできます。

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 敷布団の下にはマットレスがあるのが助かります。ちなみにお布団は夕飯をいただいている間にひいてくれます。

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 共同のお手洗いは2階にあり、女性専用の個室もありました。(一番左は男性専用)しかもとてもきれいでした。手前は共同の冷蔵庫です。私もお酒を冷やさせてもらいました。

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 今回使う機会を逸してしまったのですが、インスタントコーヒーが自由にいただけます。

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まだ外は明るいので、少し外に出てお散歩してみたいと思います。

 

肘折温泉街と肘折いでゆ館へ

肘折温泉、開湯1200年だそうですね。

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旧肘折郵便局です。可愛らしい建物で温泉街のアイコン的存在になっているようです。

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厳冬期の2月は名物の朝市はお休みなのですね。意外にも?温泉街には商店がいくつかあり、お酒やお土産など、お買い物には困らなそうです。

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 金山橋からみた肘折希望大橋です。バスの車中、この橋を降りてくるとき、運転手さんが「温泉街が見えてきましたよ」って教えてくれるのですが、山につぐ山の風景から突然温泉街が登場する瞬間はなかなか感動します。

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金山橋です。ガイドブックに載っていたお蕎麦やさん「寿屋」さんと、新しい郵便局が並んでいます。

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 反対に、小松渕橋から 金山橋をのぞんで。f:id:rekishipen:20200223162536j:plain

 

肘折いでゆ館という温泉施設に立ち寄り入浴へ行きました。宿からは徒歩で10分弱ぐらいでしょうか。

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女将さんに割引券をもらってきたので50円引き、400円でした。

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 お風呂は3階にあります。

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西陽が差し込んで明るい広々とした展望風呂。女湯の大浴場からは肘折希望大橋が見えました。熱めの浴槽とぬるめの寝湯の2つの浴槽がありました。(確か・・)(公式サイトの写真をお借りします。) 大きな浴槽に薄いモスグリーンの源泉がたっぷりとかけ流され、とても気持ちがよいお風呂でした。

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 1階では食事処やお土産品も売っています。

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 雪を詰めて発送できる「おおくらくん」。キョトンとした表情がかわいい♪

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さて、さっぱりしたところで宿に帰りましょう。

 

 

「旅館勇蔵」源泉かけ流しのお風呂

 

宿に戻ったら夕飯の前に温泉に行ってみます。1階の男女別の内湯は、源泉かけ流しで24時間入浴できます。

夕方、夕食後、寝る前ともにほかのお客さんとは一緒にならず、一人でゆったり入れました。長湯しないでもとても温まり、体がぽかぽかしました。薄い緑がかったお湯はいかにも薬効を連想させます。事実このことろ、左太腿のこわばり感があったのですが、よく温まったせいか、なんだか翌朝軽くなっていた気がしました。

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 アメニティはメリットシャンプーとボディソープがあったと思います。

 

朝は2階の貸切風呂に入りました。予約なしで空いてれば入れます。1階の内湯より少しぬるかったでしょうか。ご家族で利用されている方もいました。空いている時間はタイミングを見計らって見に行くしかないのですが、気軽に入れる貸切風呂はいいですよね♪

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個人的に、「かけ流しの良泉に24時間入れて、部屋からすぐ浴室へ移動できて、だいたいいつ行っても独占できる」 が一番理想な温泉宿のお風呂スタイルなので、すべてを満たしている勇蔵さんの温泉に大満足です。(露天風呂とか、眺望とか、充実したアメニティとかそこまで求めないので・・)

 

きのこ、山菜がたっぷり。四ヶ村の白米に感動する夕ご飯

評判通りとっても美味しかった旅館勇蔵さんのお食事をふりかえります。 

18時になると部屋にTELが入り、1階のお部屋に夕食の支度ができたとのことです。大広間ではなく個室に用意してくれるので、気兼ねなくマイペースでいただけるのが嬉しいですね。

わぁすごい、いろいろな種類のお品が並んでいます♪

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 お部屋に入ると女将さんが、献立の説明をしてくれました。忘れないうちに部屋でメモしましたが、多少の間違いがあるかもしれません。

 

こちらはあけびの芽のおひたしです。食べやすく細く切ってくれています。くせがなあく食べやすいです。お醤油を少しかけて。

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カノカというきのこと油揚げのニンニク味噌だそうです。パンチが強すぎないのに、お酒に合う味わいで美味しいです。

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 赤こごみを天日干しして水で戻したもの、を油炒めにしたもの。 食感も楽しいです。

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お酒は大蔵村の酒造、小屋酒造の「花羽陽」(はなうよう)を一合お願いしました。300円。さらりとしていて軽い感じのお酒で美味しかった!茶碗蒸しはめちゃくちゃコクがあってすごい好きでした。

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赤魚の粕漬けは見た目よりボリュームもあり。塩気もちょうどよかったです。左はふきの甘露煮で、甘しょっぱいなかにふきの爽やかな香りがほんのりありました。

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新庄のあたりでは馬刺しの文化があるんですね。にんにく醤油でいただいたのですが、肉厚でうまみがじんわりと、とても美味しかったです!!

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天ぷらは揚げたてです。この地区でとれた舞茸は風味がしっかりありました。とびたけは夏のきのこなんだそうですが、これだけは味がもともとつけてあるとのことでした。それから海老・ししとう・かぼちゃ・山菜(名前失念)。大根おろしをおつゆに入れて・・どれも美味しい・・幸せだ~。

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メインのきのこ鍋はとにかく色々なきのこがたっぷり。なめこだけ生だから、なめこに火が入ったらOKとのこと。実は鶏肉も入っていて、きのこの旨みと鶏肉の脂のコクが合わさりとても美味でした・・f:id:rekishipen:20200223163450j:plain

 

 きのこ鍋はチャッカマンで自分の好きなタイミングで煮るので、お酒を飲みながらのんびり食べられました。

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お味噌汁もきのこと山菜入りです。

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お漬物はしょっぱすぎず丁度よい塩気でした。f:id:rekishipen:20200223164159j:plain

 

白米は四ヶ村の棚田でとれたというはえぬきだそうです。四ヶ村は車で20分ほどのところにある集落ですね。こちらのはえぬきの白ご飯がびっくりするほど美味しかったです!!はえぬきってこんなにモチっと感あるんですか?!

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 炊き加減もよいし、ご飯だけでどんどん食べられます。旅先で食べた白ご飯のなかで、今まで一番美味しかった・・・♪♪この時点ですでにお腹がけっこう一杯でご飯にスパートかけられなかったのが悔やまれます。

 

 デザートは干し柿でした。鶴岡方面でとれた柿を自家製で干し柿にしているそうです。自然な甘さにほっこりです。

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ふーお腹いっぱいです・・。きのこや山菜のヘルシー食材中心なのはずなのですが、イメージよりお腹が満杯になりました。夜食にと思い買ってきたおつまみもお酒もパスしたくらいです。

 

朝食も山菜がたくさん

続いて朝食をご紹介です。朝8時に、ご飯ができましたよ、とお電話をくれます。昨晩と同じお部屋にていただきます。

 朝ごはんも品数がいっぱいですねー♪

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とろろには海苔と鰹節と唐辛子が少々。こちら、家でも真似させてもらいました・笑

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 なめこおろしは、なめこに味がついていたと思うのでお醤油はちょっとだけかけていただきました。

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肘折よりもっと山深いところでとれたという・・ええと・・たぶんわらび(メモしてなかったため自信なし)です。くせはなく食べやすいです。

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こちらも山菜と油揚げを炒めてあるもの。めちゃくちゃ美味しい!!

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塩鯖は脂がのってて美味でした。東北でよくいただく、しそ巻きは甘めだったと記憶しています。

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手作り感あふれるおいしいポテトサラダ

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 お味噌汁

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お漬物

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 ご飯は舞茸ご飯でした。めちゃくちゃ美味しかった・・。コーンが入っていて、炊き込みご飯なのに、どことなく洋風というかピラフっぽい感じもあって、コクがあるんですよね。思い出しただけでお腹が鳴りそうです。また食べたい・・。

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朝もお腹いっぱいになりました。ごちそうさまでした!

 

感想ほか

 

旅館のお食事はある程度「型」があるため、ともすると画一的になりがちなことがあると思いますが、勇蔵さんのお料理はすごくすごく印象に残りますね。美味しいのももちろんですが、PRされているように、郷土感・手作り感・自家製・地産地消の精神にあふれていました。

白ご飯がすごく美味しかったように、なにもせずとも食材そのものが美味しいのでしょうし、一方で丁寧さや味付けの工夫、手を動かすからこその美味しさもあり、なかなか普段忙しくて料理にエネルギーを注げない都市部の会社人が癒されるソースがあると思いました。

 

もちろん源泉かけ流しのお湯も気持ちがよく、勇蔵さんが温泉好きさんたちの中で人気なのがよくわかりました。こんなに充実した気持ちになるのに会計は1万円プラスαって申し訳ない気持ちすらします。土曜日でも一人で泊まれるプランがあるのもすごくありがたいです。

お世話になりました。雪のシーズンを味わったので、今度は別の季節にまたお邪魔したいと思います♪

 

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肘折温泉 旅館勇蔵

 

共同浴場「上の湯」へ

 チェックアウトする前に、女将さんから肘折温泉宿泊者用の無料券をいただいて、肘折温泉のアイコン的共同浴場「上の湯」にも入りにいきました。大き目の浴槽の窓側にお地蔵さまがいらっしゃり、その下から源泉がかけ流されてされています。自然と源泉投入口に吸い寄せられていくあたり、お湯の温度は少しぬるいのかもしれません。やわらかく、新鮮さを感じるお湯でした。ちなみに洗い場はありません。

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女将さんいわく、割引対応になっている温泉施設、「いで湯館」も「カルデラ館」も「上の湯」もみんな源泉が違うとのことで、調べてみると上の湯はあったまりの湯ではなく、「冷え湯」に属するみたい。温泉なのに冷えるというのは不思議ですが、湯上りがさっぱりする系のお湯だそう。厳冬期は脱衣所がそれなりの温度のため、ある意味、その通りな感じはしました・笑。肌感で分かるようになると温泉名人になれるのでしょうか。

 

地域の方が旧郵便局の屋根から雪おろしをされていました。この冬、東京で雪降ってないから、雪のある風景が久々です。

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10時のバスで肘折温泉をあとにしました。女将さん、お世話になりました。

次に訪れるときは、朝市がやっている時期に来て、早起きしてお買い物もしてみたいですね。

 

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このあとは宮城県作並温泉へ向かいます。

 おまけ

肘折温泉に来る前に、こちらの小説、森敦著「月山」を読んできました。肘折温泉が登場します。死者の行くあの世とあらわされる月山、その山麓の雪深い山の寺にやってきた放浪者の男が厳しいひと冬を過ごします。幽玄な世界・閉ざされた集落の隠されたならわし。芥川賞史上最高傑作とも言われています。

  

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